研究内容紹介

1.咬合再建に関する研究

腫瘍切除や外傷などによって下顎骨の連続性が失われると,咀嚼機能をはじめとする顎口腔機能が相応に障害される.また,下顎の患側偏位や顔面の陥凹などによる整容的障害も必発する.このような下顎骨欠損に対する最近20年間の治療の主力は,やはり血管柄付きの自家骨(腸骨,腓骨,肩甲骨)移植である.しかしながら,これらブロック骨による再建では,下顎骨の3次元的形態を正確に再現したり,最終的な補綴治療を見据えた再建骨の形態を自由に設定することは困難である.そこでわれわれは,CAD / CAMの技術と歯科技工の技術を駆使することで,個々の患者の元来の下顎骨の外形を持ち,最終的な歯科補綴治療を念頭に置いた3次元的形態を付与したカスタムメイド・チタンメッシュトレーを作製して下顎骨再建に用いている.この方法を用いて補綴学講座との共同治療により咬合再建を目指す. 咬合再建に関する研究画像

2.狭帯域イメージングを用いた口腔がん早期発見に関する研究

口腔がんは,白板症や扁平苔癬といった口腔潜在的悪性疾患から生じることが多い.早期に悪性所見を発見することが予後の改善につながり重要となる.一般的には肉眼所見をもとにして,組織診で確認する.口腔がん早期発見のため,従来の視診,内視鏡的白色光イメージング,狭帯域イメージング,および病理組織学的所見をもとに上記病変を比較検討した.イメージング技術により病変は,様々な特徴を示すことが分かった.また病変部に特徴的に生じる上皮内乳頭ループパターンを病理組織学的に検討し,新たな知見が得られつつある. 狭帯域イメージングを用いた口腔がん早期発見に関する研究画像